【出産直前】(妊娠予定日)

第85話「出産予定日」

この物語は
高齢出産を控える妊婦の様子について夫が記した事実であり、
主人公の主観的要素は多分に含まれておりますが、
フィクションではありません。



マルコー妊夫「第85話 出産予定日」



出産予定日当日
天気は雨。


浅い眠りで目が覚めた。
普段より1時間くらい早い。俺、緊張気味?


妻「おはよう。早いじゃない。」


俺「おはよう。
  ん~調子はどう?(エドはるみ風)」


妻「フツウ。変わりなし」


フツウですか、ショッキングぅ・・


昨日、先生に陣痛宣言をされてからの仕事場では、
仕事中に携帯にメールが入ると、
俺よりも先に仕事仲間が敏感に反応するほど、
仕事仲間は気を遣ってくれていた。
さすがの俺も2通も受信があるとビックリしたが、
そういうときに限って広告メールだったりした。


そして結局、昨日は何も起きなかった。


出勤準備を終えて朝食をとるためリビングへ。


妻「お赤飯作っちゃった。出産予定日お祝い。
  無事ここまで迎えられました。」


俺「ホントだね。よかったよかった。」


思えば、ほんの1センチ程度の胎芽から始まって
妊娠か流産かという不安との戦いもあったり、
出産予定日を告げらたときは遠い未来に思えたが
気がつけばこんなに大きくなってここまで来れたんだな。


妻「では」


俺・妻「いただきま~す。」


出勤し、仕事場に着くやいなや
「おめでとうございます」と仕事仲間たちに言われる。


俺「いやいやいや。。昨日は結局何も起きなかったのよ。」


仲間「えぇ~あ、そうですか。」


陣痛→出産は当然のイメージ。仕事仲間が驚くのも無理はない。
なんだかちょっと気恥ずかしい。


夕方に入った携帯メール。
妻からだったので思わず反応するも、


「特に変化はないよ。今日は夕ごはんどうする?」


・・・このまま日常生活に戻りそうな勢いだ。


俺「そろそろ帰ってもいいかな。」


定時を過ぎても
仕事がもう少し続きそうな雰囲気だったので声をかけると


仲間「はい、大丈夫でーす。」


と快い回答が返ってくる。


仕事は俺がいつ抜けても大丈夫なように
ここのところ毎日詳細な引継ぎをしている。
帰り際、俺がちょっとモタモタしていると
後輩の女の子が真顔で言う。


後輩「早く帰ってあげてください。」


安心して出産を迎えられそうなのも
こうした仕事場の仲間達のおかげだ。


帰宅すると
リビングの机の上には時計とメモが置いてあった。


おっ、規則的に陣痛が来てるのか?

85











覗いてみると


俺「時間バラバラじゃ~ん」


妻「しょうがないじゃ~ん。
  途中で昼寝しちゃったし、別に痛くないから
  張ってるかも触らないとわからないんだもん
  メモできないんだよ~」


そうこうしているうちに
出産予定日は何事もなく過ぎてしまう。


予定日はあくまでも予定日。


ここまできたら
赤ちゃんが舞い降りてくるのをのんびり待つことにしよう。



マルコー妊夫「第86話 破水」へつづく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第84話「陣痛」

この物語は
高齢出産を控える妊婦の様子について夫が記した事実であり、
主人公の主観的要素は多分に含まれておりますが、
フィクションではありません。



マルコー妊夫「第84話 陣痛」



出産予定日前日 妊婦検診


妻と一緒に診察室に入ると、
先生は横長のグラフ用紙に目を通していた。
それは、どうやら
診察前に妻のお腹に30分程度つけていた、
モニターの波形結果のようだ。


先生「そうね、規則的にお腹が張ってきているから、
   いわゆる陣痛が始まってますね」


俺・妻「えぇぇ!?」


それを聞いた俺と妻は驚いて顔を見合わせた。


妻「でも、全然痛くないんですけど」


先生「本人は平気な顔してるもんね。
   まぁこのまま陣痛が弱まっちゃう場合もあるから
   様子をみましょう。
   とりあえず、いつもの検診しますね。」


急にドキドキし始めている自分に気が付く。


10ヶ月という時間をかけてココロの準備はしてきたつもりだが、
今日、明日の話となるとこんなにも動揺するもんなんだな。


先生はいつもどおり、
ベットに横になった妻のお腹周りを測り、
超音波でお腹の様子を診始め、推定体重が測定された。


先生「2,653g
   明日で予定日じゃないですか。
   で、内診のときに私が出口のところを
   グリグリって刺激すると、
   陣痛がさらに加速する感じになるんですけど、
   やりたいですか?」


妻は即答できず、戸惑っていた。


先生「私がこの『剥離』って作業をしないと
   早まることはないんだけど、
   もう一週間くらい様子をみてみたいですか?自然に。
   といってもすぐに痛くなってくると思いますけどね、
   あんだけ張っているから。」


妻「・・・・」


先生「赤ちゃんの大きさはもう大丈夫だから、
   赤ちゃんが小さいからとかは
   もう考えなくていいかな。もし来週も検診に来れちゃったら、
   来週は剥離って作業しないと過期産に入っちゃうからね。
   来週はやります。」


妻「はい。」


先生「今日状況がよければ、剥離もできるかな、
   って感じですけどね。
   じゃ、今日はひとまず内診してみて
   その状況で決めましょうか。」


妻と先生は内診室へ移動し、
俺は診察室から出て待合室で待っていた。


しばらくして妻が出てきた。


俺「どうだった?グリグリやったの?」


妻「う~ん、出口が柔らかくなってるからやってみたんだけど、
  『高くて無理だった。』って。ただ、グリグリしたから
  今日出血はします、って言われたけど。
  『高くて無理』ってどういう意味かな。」


俺「赤ちゃんがまだ下がってきてないってことかなぁ。」


妻「でもいよいよですなぁ~
  なんか、今日の検診はまとまんが一緒でよかった。」


俺「え、なんで?」


妻「陣痛が始まってるなんて一人で聞いたら、
  もっと動揺してたかも。
  ココロの準備はしてたつもりだったのになぁ。」


やはり妻も俺と同じだった。
出産予定日になっても、
「もうそろそろ」と思っていたこれまでの時間が
ずっと続くような気もしていた。
でも現実は「すぐ」がそこまで来ていたのだ。



ランチの時間になっていた。


俺「二人だけで食べる最後の晩餐かもね。」
  
妻「私も同じこと思ってた。次は10数年後かもしれないなぁって。」


陣痛祝い?最後の晩餐??
奮発して特上しゃぶしゃぶを食べることにした。


大きな期待と不安が入り混じる。
きっとみんなもこうして出産直前を迎えたのかな。


俺「陣痛が激しくなったり、破水したら連絡して。」


妻「うん、わかった。」


そして俺は妻と別れ、仕事に向かった。



マルコー妊夫「第85話 出産予定日」へつづく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)