第91話「夫が妊婦にできること」
13時03分
助産師「陣痛が短くなってますね。陣痛室へ移動しましょう。
ダンナさん、必要な荷物をまとめて持ってきてください。
先に移動します。」
マルコー妊夫「第91話 夫が妊婦にできること」
病室を出るとき、
隣のママのところに新生児がやってきていた。
俺は通りすがりに、かわいいなぁ、という顔をする。
母1「奥さんのこと、ちゃんと支えてあげてね。」
俺「あ、はい。。」
母1「あら、両親学級のときの勢いと違うじゃない?」
俺は両親学級のとき、
みんなの前で「立ち会う気マンマンです!」なんて
元気よく宣言していたのだ。
俺「いやぁなんか自信なくなっちゃって。
俺、何してあげたらいいんですかね。」
母1「そばにいて腰をさすってくれるだけでいいのよ。
私、ダンナがそばにいてくれなかったら
産めなかったと思う。
それだけココロ強いんだから。ほら、がんばって!」
俺「ありがとうございます。頑張ってきます!」
しかし、俺が陣痛室に入室したときには
妻はベットの手すりを強く握り締め、こちらに背を向けたまま
すでに硬直状態となっていた。
モニターには
赤ちゃんの心拍数と陣痛の波が表示される。
それを見ながら、次の陣痛がいつ来るのか予測する。
陣痛の合間に水分補給させ、
陣痛時に、背中から腰をさすり、うちわで扇ぎ、
そして、
俺「ほら、フーって。息止めないで、フー」
一緒に呼吸を合わせる。
俺にできることなんてそのくらいしかない。
汗まみれになり、右手や左手は何度も吊りそうになったが
俺は今できる精一杯のことをやるだけだ。
助産師「いい張りがきてる。本人はタイヘンだけど順調よ。
破水してるけど、先生がこのまま自然分娩でいくって。」
14時24分
内診
助産師「子宮口ほぼ全開。
でも、まだ残ってるからイキんじゃだめ。
ダンナさん、おしりの穴あたりを強く抑えてあげて。」
15時10分
内診
助産師「子宮口全開です。
もうイキみたくなったらイキんでいいですよ。
ただ、赤ちゃんの位置がまだ高いの。
イキんで下げていきましょう。」
15時52分
内診
助産師「速いわ。もう生まれそう。分娩室の準備してきます。」
16時00分
助産師「分娩室へ移動します。
ダンナさん、悪いけど、今、分娩室には
出産中の妊婦がいるのね。
しかも夫立会いじゃないの。
その妊婦さんの許可が必要なんだけど、
ちょうど生まれるところだから、許可とれないのよ。
生まれたらすぐに許可取るから、
それまで待合室で待っててもらえるかな」
妻はゆっくり立ち上がり、
助産師の肩に手をかけて一歩一歩分娩室へ歩いていく。
その小さな背中を見ながら、
たとえ立会いができなくても無事に生まれてさえくれればいいと
そう思った。
マルコー妊夫「第92話 誕生!!」へつづく。
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